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トウモロコシの意外な歴史と進化


暖炉とポップコーン

新しい年が明け、寒さが一段と厳しくなる1月。
こたつで温まりながら映画鑑賞、そのお供にポップコーン......なんて過ごし方が最高に幸せな季節ですね。

ところで、皆さんは1月19日が「ナショナル・ポップコーン・デイ(ポップコーンの日)」であることをご存知でしょうか?※1
「トウモロコシといえば夏野菜じゃないの?」 「なぜ真冬にポップコーンの日?」 そう不思議に思う方も多いかもしれません。
確かに、みずみずしいスイートコーンは夏が旬です。しかし、歴史的な視点で紐解くと、「冬とトウモロコシ」には切っても切れない深い関係があるのです。

今回は、ポップコーンLABの研究員になったつもりで、9000年の時を超えたトウモロコシと人類の「冬の物語」を覗いてみましょう。

トウモロコシは「夏野菜」である前に「保存食」だった
私たちが普段、サラダやバーベキューで食べている甘いトウモロコシは、現代の品種改良の賜物です。しかし、人類史におけるトウモロコシの役割は、少し違ったものでした。トウモロコシの起源は、約9000年前のメキシコまで遡ります。 ※2

その祖先は「テオシント」と呼ばれる、一見するとススキのような野生の植物でした。古代の人々は、この小さな植物を長い時間をかけて選抜・交配し、現在のトウモロコシの形へと進化させていったのです。なぜ、彼らはそこまでしてトウモロコシを大切に育てたのでしょうか? 最大の理由は、その驚異的な「保存性」にありました。

冷蔵庫も缶詰もない時代、冬を越すための食料確保は、まさに生死に関わる問題です。秋に収穫されたトウモロコシは、皮を剥かずに乾燥させられます。カチカチに乾燥したトウモロコシは、カビや腐敗に強く、何ヶ月も、あるいは何年も保存することができます。

つまり、トウモロコシは「冬の間の命をつなぐ貴重な栄養源」だったのです。
冬の夜のエンターテインメント? 古代のポップコーン

9月9日はポップコーンの日
乾燥して石のように硬くなったトウモロコシを食べるには工夫が必要です。 石臼で挽いて粉にし、水を加えて焼けば「トルティーヤ」などのパンになります。現代もトウモロコシの粉を主食としている国はたくさんありますね。
そしてもう一つ、古代の人々が発見した調理法があります。 それは「加熱して爆発」。そう、「ポップコーン」です。

想像してみてください。 冷たい風が吹く冬の夜、家族で焚火を囲み、火の中に乾燥した粒を投げ入れる。 しばらくすると、ポン!という軽快な音と共に粒が白く膨らみ、香ばしい香りが漂ってくる......。現代の私たちにとってもワクワクする瞬間ですが、古代の人々にとっても、硬い種が柔らかく真っ白な食べ物に変わる様子は、まるで魔法のように映ったことでしょう。

一説には、ポップコーンは食用としてだけでなく、その弾け方で来年の吉凶を占う儀式や、膨らんだ粒を糸で繋いで装飾品としても使われていたと言われています。※3
冬の厳しい生活の中で、ポップコーンは貴重な栄養源であると同時に、心躍るエンターテインメントでもあったのかもしれません。
この冬は、歴史を噛みしめて
約9000年前にメキシコで生まれ、乾燥させることで冬の保存食となり、やがて世界中の人々を笑顔にするスナックとなったトウモロコシ。
こたつでポップコーンを食べる時、ふと「これは大昔の人も食べていた冬のサバイバル食だったんだな」「この一粒の中で9気圧の圧力が戦っているんだな」と思い出してみてください。 いつものポップコーンから、少しだけ歴史やロマンを感じられるかもしれません。
1月19日のポップコーンの日。 かつて冬を越すためにトウモロコシを蓄えていた先人たちに想いを馳せながら、温かい部屋で「ポン!」と弾ける美味しさを楽しんでみてはいかがでしょうか。



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≪参考資料:一覧≫
※1:ナショナル・ポップコーン・デイ(ポップコーンの日)
popcorn.org「The Popcorn Board - National Popcorn Day」https://www.popcorn.org/Newsroom/National-Popcorn-Day-Jan-19
※2:トウモロコシの起源
ナゾロジー「トウモロコシが地球で初めて主食となった痕跡が発見される。 最初はお酒のために栽培していた!?」https://nazology.kusuguru.co.jp/archives/61796
※3:ポップコーンの歴史
popcorn.org「History of Popcorn」https://www.popcorn.org/All-About-Popcorn/History-of-Popcorn